アイドル君と私
『そうかなぁ~?だって、気になる子をデートに誘うのは普通でしょ?』
「…えっ…?」
気になる…子?
咲が返答に困っていると、
『じゃ、あと30分で着くからっ』
「えっ!?」
『じゃっ』
「えっ…あのっ…!」
電話は勝手に切れる。
「なんつー勝手な人…はぁー…」
咲はため息をつきつつ、仕方なく支度をすることに。
そして、洗面台にいると、咲の携帯が鳴る。
「あっ…」
着信は高山からだった。
「はいっ…」
『おー着いたよ~』
「あっ…はい」
少し顔を引きつけたまま、咲は電話を切ってカバンを持って下に降りる。
車に乗って着た高山が、助手席のドアを開く。
「どーぞっ」
「……どうも」
少し頭を下げて、咲は助手席に座る。
高山も運転席に座ると、車が発進した。
「あのっ…よく覚えてたね?私の…家」
「えっ?そりゃーまぁ…気になる子のことは、
なんでも覚えるっ」
「そっ……そう…」
高山の言葉に再び顔が引きつる咲。
「っていうか、どこに行くの?」
「えー?そんなの無難なデートに決まってるじゃんっ」
「えっ…無難なデート?」
「そうっ、まずは映画かなっ?」
ニコッと笑う高山に、咲はうつむいてしまう…。