アイドル君と私
メールぐらい
それから数日。
新曲のPV撮影で、Retの3人はスタジオにいた。
待ち時間を控え室で過ごす。
一人携帯をいじる廉に、江真と拓海の二人が冷たい視線を送る。
江真は拓海と顔を見合わせて、
「あれ、何?」
「さぁ~?廉ってあんな携帯依存症だったっけ?」
「い―や?」
江真と拓海は首をかしげた。
廉は文字を打っては消そうとする動作を繰り返していた。
「……あ~クソ~!!」
と、頭をかいていると二人の視線に気づく。
「あっ……」
「ったく、ヘアメイクさんが困るから髪型は崩すなよ?」
「あっ…うん…」
するとドアをノックされ、スタッフが入ってきた。
「大森さんお願いしま―す」
「はーいっ」
スタッフに呼ばれて、笑顔で拓海が出ていく。