アイドル君と私


咲がドアを開け、外に出ると、
勇介は両手を後ろに回して立っていた。


「……?…なに?」


咲が聞くと勇介は両手を前に出し、
持っていたのは…。


「……えっ……花束…?」


勇介が咲に差し出したのは、ガーベラの花束だった。


「ははっ、暗くてあんまり見えないかぁ~でも、渡したかったから……はいっ」


咲は花束をゆっくり受け取る。


「あっ……ありがとうっ……でも、どうして…花束を私に?」


「咲ちゃんに何かあげたくって…でも、今アクセサリーもらっても重いでしょ?だから、花束はどうかなって…」


「そうなんだ…ビックリした…」


「ふふっ、とりあえず受け取ってくれて良かったっ」


勇介はニコッと笑う。


「勇介くん…」


「じゃぁ…また、迎えに行ってもいい?」


「えっ!?でも…勇介くんも忙しいんじゃ?」


「俺は会いたいから、会いに行ってるだけだよっ、全然苦じゃないから心配しないで?」


咲は勇介の言葉に、薄っすら笑みを返す。


そして勇介は帰って行った。



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