アイドル君と私
部屋に入り、も咲はらった花束を花瓶に生ける。
花束なんて…初めてもらったな。
咲はただ、ガーベラの花束をボーッと眺めていたー。
そして、それから何度か勇介と咲はそんな日々を送っていた。
そんなある日の夜、
咲は勇介に誘われ、港にドライブに来ていた。
手すりに手を置き、港の向こう側に見える夜景を眺める。
「きれー…」
すると、後ろから勇介が来る。
「どう?気に入った?」
「うんっ、スゴく素敵っ」
「それは良かったー」
「でも勇介くんって、おしゃれだね?」
「えっ?」
「だって、こんな所なかなか知らないよ?」
咲の言葉に勇介は、少しニコッとする。
「ははっ、今日は特別っ」
「……えっ?」
特…別…?
すると勇介は、すぐそばに停めた車のトランクを開け、何かを持って咲の前に…。
夜景の光で、持っていた物が花束だと気づく咲。
「……えっ…」
「はいっ」
勇介は咲に花束を渡す。
「……どうして…また?」
「もう、前の枯れたでしょ?ずっと飾ってて欲しいんだっ、俺があげた花…」
「勇介くん…」
「言ったでしょ?咲の傷を癒したいんだ…」
「……っ」
そして勇介は花束を持つ咲の手に触れて、
咲の瞳をじっ…と見つめる。
「……勇介…くん…?」
「………好きだよっ」
「…えっ…」
「やっぱり…本気みたいっ、俺っ…」
「………。」
「咲が笑顔になるまで俺…何度も花束をプレゼントするよっ」
「えっ……けど、悪いからっ」
「悪くなんてないよっ?俺が好きでやってるんだからっ…」
「……っ」