アイドル君と私
「俺……出来るのかな?」
「…なにを?」
「……幸せに…」
「…誰を?」
「たった一人の人も幸せに出来ないのに…5万人なんて俺…幸せに出来るのかな?」
廉の問いかけに、はぁー…とため息をつく江真。
「そんなことだろうと…思ったよっ」
「えっ…?」
「そんなの…廉の気持ちだけだよっ」
「俺の…気持ち…」
「5万人を幸せにしたいと思うのも…たった一人の人を幸せにするのも…おまえの気持ちだけだよっ」
「でも……時々…俺が選んだ道はこれで良かったのか、迷う時があるんだ…」
「まさか…おまえ変な事考えてねーよな?」
「あっ…いや、それはないよっ?Retはかけがえのない…ものだから、離れたりしないっ、彼女の気持ちも大切にしたいし…」
そう言って廉はコーヒーを飲んだ。
そんな廉を見て、江真がそっと口にする。
「……いつかさ…」
「ん…?」
「2人が会える時……絶対に来ると思うぜ?
俺はっ…」
「江真っ……サンキュ、ちょっと持ち直したっ」
そう言って笑顔を向ける廉。