アイドル君と私
拓海が出ていくと、雑誌をパラパラと見ている江真が廉の方を見ずに口を開いた。
「何?メール?」
「えっ…!?あ―…うん」
「メル友?」
「あっ……まぁ」
「ふーん?」
素っ気ない江真の言葉に、廉は少しむくれる。
「……(何だよ、ふーんて?…それだけかよ)」
すると江真は雑誌を閉じて、飲み物をコップに注ぐ。
「なぁ…江真くんよ―…」
「…はい?」
「……メールぐらいいいかな?」
「…はっ?」
「あっ…いや、何でもっ…」
そう言って廉が携帯を閉まおうとすると、
江真がしれっと口を開く。
「…いーんじゃねーの?」
「えっ…?」
「“メールぐらい”なんだろ?」
「……っ…あぁ」
江真の思いがけない言葉に、廉は驚きつつももう一度携帯を出そうとした。
すると、横に置いておいたカバンの中からドラマの台本が覗いて見えた。