アイドル君と私
ある日の仕事終わり。
咲は元の店で望の帰りを待っていた。
すると、出てきた望が驚く。
「咲ーどうしたのっ?連絡もしないで~」
「ごめんっ、なんか…ここに来たかったの…」
「えっ…?」
望の不思議そうな声に、咲はただ笑顔を浮かべるだけだった。
そして2人は近くのお店へー。
そこで、望は声をあげる。
「えっ…!!?プロポーズされたぁー!?」
望の声に、周りの客がジロジロと見る。
「望っ、声がでかいっ!」
「あっ!ごめんっ」
ハッとして、口元を抑える望。
「つうか、なんで~?だってまだ付き合ってもないのにっ!?」
「……うんっ」
「マジで~!?行動力ありすぎでしょー?」
「ははっ、だよねー…」
「あービックリしたぁ…ちょっと飲ませて?」
そう言って望はドリンクをぐびぐびと飲む。
「はぁー潤ったぁ~」
「ははっ…良かったね?」
「で?どうすんの?咲っ」
「あー…うん、考え中…?」
「えー?じゃぁ…受けるかもしれないのっ?」
望の言葉に咲はうつむきながら、少し笑って…。
「望っ…私……おかしいかもしれない…」
「……えっ?」
「私……忘れたいの……いい加減自分が惨めに思えてくる時があるの…」