アイドル君と私


ある日の仕事終わり。


咲は元の店で望の帰りを待っていた。


すると、出てきた望が驚く。


「咲ーどうしたのっ?連絡もしないで~」


「ごめんっ、なんか…ここに来たかったの…」


「えっ…?」


望の不思議そうな声に、咲はただ笑顔を浮かべるだけだった。


そして2人は近くのお店へー。


そこで、望は声をあげる。


「えっ…!!?プロポーズされたぁー!?」


望の声に、周りの客がジロジロと見る。


「望っ、声がでかいっ!」


「あっ!ごめんっ」


ハッとして、口元を抑える望。


「つうか、なんで~?だってまだ付き合ってもないのにっ!?」


「……うんっ」


「マジで~!?行動力ありすぎでしょー?」


「ははっ、だよねー…」


「あービックリしたぁ…ちょっと飲ませて?」


そう言って望はドリンクをぐびぐびと飲む。


「はぁー潤ったぁ~」


「ははっ…良かったね?」


「で?どうすんの?咲っ」


「あー…うん、考え中…?」


「えー?じゃぁ…受けるかもしれないのっ?」


望の言葉に咲はうつむきながら、少し笑って…。


「望っ…私……おかしいかもしれない…」


「……えっ?」


「私……忘れたいの……いい加減自分が惨めに思えてくる時があるの…」



< 522 / 545 >

この作品をシェア

pagetop