アイドル君と私
「咲っ…?」
「勇介くんといると、すごく心が…楽?なのかな?単に甘えてるだけなのかもしれないけど…」
「彼のこと…好きになったの?」
「……まだ、分からないの…でも忘れるなら、
彼といた方がいいのかな?……なんて思うのはズルいよね?」
「咲っ…やっぱりまだ…」
言葉を続けようとして、一旦唇をつむんだ後、再度望が口を開いた。
「私が…思うに…」
「…えっ?」
「どうしても忘れなきゃ…ダメなの?」
「……っ?」
「無理に忘れなくたって…いいじゃん」
「……なんで?そんなの…思い出して辛いよ…」
「けどっ、他の人と結婚して、咲は…幸せなのかな?」
「……っ……私…」
私の…幸せ?
もう、会えなくても…
私…廉くんのこと想って、生きて行けるの…?
それとも、
勇介くんと、この東京(まち)を離れて生きて行くの…?
もう…26歳。
子供じゃないんだし、私が決めないとっ…。