アイドル君と私
「……会いたくても、会っていい時なのかな?って思う…」
「……どういうこと?」
「俺と会わない方が、彼女は…幸せかもしれないだろ…?」
首に手を置き、少しうつむく廉。
そんな廉に拓海が、口を開く。
「……だから、会わないの?」
「……えっ?」
「会いたいなら…会っても、俺はいいと思うっ」
「…拓海…」
すると、拓海は少し柄にもなく熱く語り出した。
「確かに、色々と大人の事情はあるよっ?でも…でもさっ、廉くんが恋愛しちゃいけないなんて法律ないんだよっ!?」
「……っ!」
「俺…2人の笑顔見た時、嬉しかったんだ…なんか、本物な気がした…そんな廉くんがうらやましかった…」
「……拓海」
「だからっ、だから…今の2人ならっ…」
そう言いかけて拓海は止まった…。
それは言えなかったんじゃなく、
ただ、切なげでもない瞳でいた廉に…
何も言えなくなったから。
“もしかしたら、廉くんは…”
そう思って、拓海は口にするのを止めた。
そして、咲が勇介に返事する日が近づいてきた。