アイドル君と私
「………っ」
廉は台本を手に取り、うつむいた。
「やっぱり…ダメだ」
「はっ…?」
「今はドラマに集中しないとっ」
「はぁ―?別にいいんじゃねーの?」
「えっ?…けど」
「別に“メールぐらい”送ってからドラマに集中してもいいんじゃねーの?」
「……っ!だよなっ?」
廉は満面の笑みをして再び携帯を取る。
そんな廉を少し微笑ましく思いながら、江真は再び雑誌をめくった。
廉は真剣な顔で文字を打ち始めた。
「……うーん」
出来上がった文章は、
“こないだは本当にありがとう。
今月分の雑誌なんだけど、やっぱり行けそうにないかな。
早速お預かりお願いします。 ”
メールの内容を見た廉がボソッと呟く。