アイドル君と私
「あんまり時間ないんだけど、星野さんいそうだなって思って…」
「……あっ…」
白石廉の言葉に、私はドキッとして少しうつむいた。
「あっ…じゃぁ、預かってる雑誌持って来ますね?」
「あっ…ゴメン、ちょっと今は手荷物は…まだ、預かっててもらってもい?」
「あっ…はい、それは大丈夫ですけど…」
“じゃあ…どうしてここに?”
頭の中で、そんな疑問が浮かんできたけど、聞けない。
ふと視線をずらすと、エンタメ雑誌コーナーに廉が表紙の雑誌が沢山並んでいる。
「…大丈夫ですか?」
「えっ?」
「あの、けっこう…」
そう言いかけて、咲は雑誌を指差して店内を見回した。
「あっ…あぁ~ホントだ、こう並んでると恥ずかしいなっ」
「ふふっ、私はいつも見てますけどね?」