アイドル君と私


「…えっ…?」


「…あっ…」


自分の言葉に、私は手で口を覆った。


「ごめんなさい…私仕事に戻りますっ」


「あっ、うん…俺も」


先にカウンターの方へ歩きだした咲を、入口の方から廉は少し見ていた。


カウンターに戻った咲は、発注伝票に目を通す。


「はぁ…まさか、来るなんて…」


いや、別に会いに来たわけじゃ…。


たまたま近くで、行き付けの本屋みたいな感じだから来ただけで。


深い意味なんてない


そう、思うのに


勘違いしちゃうよ


白石廉のバカ…。



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