三回目のデート


「先輩!このクマさん、去年先輩が着ていたクマさんに似てません?」

「どれ?……あ、ホントだ。結構大きいなー」


 先輩のいうとおり、大きめのぬいぐるみだった。赤ちゃんぐらいあるかな?

 普通に茶色いのもあれば、赤色とか青色とかもある。わぁ、可愛い~。

 穴の近くに置いてあって、すぐに落ちそうに見えるけど……


「私……UFOキャッチャーは苦手なんです。一個取るのに、何千円も使っちゃうタイプで」

「ふーん……そりゃいいや♪」

「え、どうして?」

「なぜなら……俺が得意だから♪」

「えー、そうなんですか?」

「これで、彼氏の名誉挽回ができるってもんよ。
 そうだなー。これだったら……たぶん千円以内で二つぐらい取れるかも」

「二つも!?」

「まぁ見ててよ」


 先輩は最初から500円を入れて、クレーンを慎重に動かし始めた。

 私も一緒になってジッと見守る。

 ……なるほどー。一回で決めようとしないで、何回かに分けてぬいぐるみをじわりじわりと動かしてやるんだ。

 先輩……すごく真剣。

 動かすこと三回目……すると……

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