三回目のデート
「……『崇』……」
「…………ん?何か言った?」
先輩が、クレーンから目を離さずに問いかけてきた。
はっとして、我に返った。
「えっ!?あっ……う、ううんっ!何にもっ!」
「そっか……気のせいか。ゲーセン賑やかだからな。よーし、もうちょい……」
わっ……私……今、先輩の名前を言えた。
ボソッとだったけど……先輩にはハッキリ聞こえなかったけど……これってもしかしたら……今日いけるんじゃない?
真の彼女への、第一歩……。