三回目のデート


 何も知らない先輩は「お待たせー」と言いながら、運転席に座ってきた。


「お、おかえりなさい!」

「……どうしたの?」

「えっ!?」


 ギクッとした。手紙の内容と、封印した物が頭から離れなくて……


「顔が赤いよ」

「そ、そうですか?」

「もしかして、海風に当たったから……風邪でも引いたりして?」


 と、先輩がおでこにフワッと触れた。


「っ!…………」


 わ、わぁーーっ!熱なんてないけど、出てしまいそう!


「……熱はなさそうだな。大丈夫?」

「だ、大丈夫です!全然健康です!」

「そっか。なら良かった。
 じゃあ……行っちゃいますか!」

「うわぁ、いよいよですね!なんかドキドキします!」


 自分をごまかすために、無駄に拍手をした。

 いつも以上にはしゃがないと、南琉ちゃんの手紙の内容と、あの贈り物のことばかり考えちゃうから。


「超安全運転で行くから、無事を祈ってて」

「はいっ、わかりました♪」


 とにかく、アレは出てこないように封印したから、今は一旦忘れてデートを楽しもう。

 南琉ちゃん……気持ちだけ、受け取っておくね。

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