三回目のデート


「っ……映見……」


 死ぬほど恥ずかしい。先輩の胸元を握る手に、ギュッとチカラが入る。


 恥ずかしいけど……先輩と距離を縮めたくなった。


 先輩の温もりを、感じたくなった。


 先輩に……素直な気持ちを言いたくなった。


「先輩。ありがとうございます……さっき春樹君に『渡さない』って言ってくれたの……すごく嬉しかったです。
 私も……先輩を、誰にも渡したくないです」

「……じゃあ、お互いしっかり捕まえておかないとな」

「……はい」


 先輩は、私をそっと抱きしめた。


(先輩……)


 私……今なら名前を呼べそうな気がする。


 名前で呼んで……言いたい。


『好き……』って……。
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