三回目のデート


 危機を感じ、目を開けて顔も上げた。


「先輩、ごめんなさっ……わっ!…………」


 いつの間にか目の前にいた先輩に、ビックリする間もなく手を引かれ、体ごと引き寄せられ……


 そのまま唇が……

 重なった……。


「…………っ」


 え……何が……起こってるの?


 目をしっかりと開けたままで、体も思考も硬直した。


 少ししてから顔が離れると、至近距離で見つめ合った。

 それで、ようやく実感した。

 先輩と……キス……したことに……。


「……やっと見てくれた」

「あっ……のっ…………」


 戸惑ってると、先輩がもう一度引き寄せる。


(えっ……う、うそっ……)


「……っ」


 今度はちゃんと目をつむって……

 キスを受け入れた。

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