三回目のデート


「私、映見は最初、相葉君が好きだと思ってたのにー。
 それがまさか……あの、後藤先輩だったとはねぇ~」


 今度は周りに知っている人はいなかったから、果奈はおっぴろげにして言った。


「果奈。最近そればっか」

「だってさぁ、ホントにホンットにビックリしたんだからぁ!
 好きな人なんていないと見せかけて……これだよー」

「ホント、ごめんね。
 自分でも好きかどうか、途中まで半信半疑だったし……気持ちがはっきりわかったと思ったら、先輩と気まずくなったりとかして……果奈にさえも、なかなか打ち明けられなかった」


 果奈だって好きな人が出来た時は、すぐに私に打ち明けてくれたのに……

 それが、ちょっと申し訳なく思ってしまった。


「……うん、わかってるよ。
 二人のことなんだから、無理して打ち明ける必要ないし。結果、うまくいったんだから良かったじゃん」


 果奈……責めないで、気持ちを汲み取ってくれた……。


「……うん……ありがとう」



 果奈は、天真爛漫で、一見人を振り回してる風に見られちゃうこともあるけど……まぁ、実際そういうところもあるんだけど。

 こうして人のことを察してくれたり、いつも自分のことのように、一緒になって喜んだり泣いたりする……そんなコなんだよね。

 きっと猪瀬君も、そんな果奈にひかれたんだろうなぁ。

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