三回目のデート
「すみません、兄。お願いがございまして……」
「あぁ……なんだ?また勉強か?」
「いえ……これを……」
と、差し出されたのは、可愛らしいクマのイラスト入りの封筒だった。
「ん?手紙?」
「はい」
俺はそれを丁寧に受け取った。
誰宛?と訊こうとしたけど、よく見たら『映見さんへ』と、書かれている。
「これ……映見に書いたのか?」
「はい。映見さんへの想いをしたためました。なので是非、渡していただきたく……」
なんて可愛いヤツなんだ。
兄、思わずジーンとした……。
「そうかぁ。南琉、よっぽど映見が気に入ったんだな」
「はい。兄の大事な姫君ですから。そうじゃなくても、映見さんは憧れの女性ですので……
あ。兄は読んではいけませんよ。映見さんだけに読んでもらいたいので」
「えー、気になるなぁ。なんて書いたんだよ」
「秘密です」
「ははっ、わかったよ。ちゃんと渡しておくから。映見、きっと喜ぶぞ」
南琉は、少し照れたように顔を綻(ほころ)ばせた。