ただ、逢いたくて

「………なんだよ」


面倒臭そうにあたしを見る彼。


見上げてきたブルーの瞳は相変わらず綺麗で、さっきまでの勢いも少し減少してしまった 。


「……」



何も言おうとしないあたしに、何?と無言で訴えてくる。



あ、ヤバ……
またみとれてた。


だって本当にイケメンなんだもん。



「あぁ、……行くぞ」



言い終わる前に木村くんは立ち上がり教室から、出ていこうとする。



だけど、あたしはそこから動けなくて彼の背中を見つめているばかりだった。

そんな様子に気づいたのか、いきなり後ろを振り返って、早く来いよとでも言うように視線を投げられる。



それでも動こうとしないあたしにチッと小さく舌打ちをして、また戻ってきた

かと思えば、そのままあたしをガシっと抱き上げて――



「えっ…!!?」

「……」

「き、木村くん…?」

「……」

「あの…」

「……動かねぇから」

「あ、……ごめん。あたし、行くから降ろして」



やっと答えてくれたかと思うと、まただんまりで



なんでこんなことになってるの?

また、手を強引に引っ張って連行されるのかと思ったのに、あまりにも衝撃的な行動に戸惑いを隠せなかった。

気付けば、彼の広い肩に担がれていて逃げることが出来ない状況。


クラスのみんなも、突然の出来事に驚いて興味の視線が痛いほど伝わってくる。



そんなにジロジロ見ないでよー。女の子達…、顔が鬼のような形相になってて怖いんですけど………?

それに、亜弥さん。そんなに楽しそうにしないで下さい。少しくらい助けてくれても…って昨日も同じこと言ってたな。


はぁーと溜め息をつき、大人しく彼に担がれていた。





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