ただ、逢いたくて

「……チュ…」



名残押しそうに軽く音を立てて離れていくが、銀の糸で繋がれている唇はひどく熱くて甘くて…。もっとして欲しいなんて思ってしまった。



「…何?そんなに気持ちよかった?」



その瞬間、頬に触れている木村くんの掌の冷たさが鮮明に感じあたしを現実へと引き戻す。


落ち着こうと思い、酸素を体中に取り入れるようにゆっくりと息を吸い込んだ。


フゥ――…


暫くすると、呼吸も落ち着いてきて思考回路もだんだんとハッキリとしてきる。


それと同時にさっきの出来事がフラッシュバックのように蘇り、思わず顔が熱くなってしまった。



あたし…さっきなんて思った?

もっとって……
木村くんにキスされたいって

すごく嫌なのに
ファーストキスはけいちゃんって決めてたのに



二回もされたのに


悔しい……





どうしてこんな自分勝手な男に振り回されてるの?







ふと木村くんを見ると、楽しそうにクスクスと笑っている。


何が楽しいの?



そのままキッと睨むが全く効果はなくて、木村くんはシレっとしている。

その悪気のない感じが余計にあたしを逆撫でて



どうして……



こんな言葉ばかりが浮かんでくる


木村くん…



あたしに何を望んでいるの?




きっと、あたしに似た前の彼女でも思い出して重ねているだけだろう…

あたしは一時の木村くんの玩具でしかない。

都合の良いように遊んでるんだ……







「…何怒ってんの?」



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