ただ、逢いたくて
電話の後、すぐに亜弥は来てくれて事情を話した。
「……―という訳。」
「なにが『という訳』よっ!!本当に心配したんだからね〜」
「ごめんなさい…」
もうっ!とでも言うように呆れた瞳をしてあたしを見つめてくる亜弥に苦笑いを浮かべるしかなかった。
「で…アンタ達今まで何してたのよ?もう午後の授業全部終わってるけど」
ズイっと詰め寄るように近づいてくる亜弥。そんな亜弥に押され気味に冷や汗が出る。
「話してた…」
「話してただけでこんなに遅くなるわけないでしょ!隠してないで白状しなさいっ」
亜弥には木村くんに資料室に連れていかれて話をしていたら遅くなったとしか説明はしていない…
だって、いくら亜弥でもキスされたなんて、口が割けても言えるわけがない。
そんなのあたしのプライドと夢が許せない!!
どうしようと悩んでいると、亜弥はニヤニヤしながらあたしを見つめてくる。
「美優、もしかして木村比呂にエッチなことでもされた?」
「ば、馬鹿なこと言わないで!そんなわけないでしょっ」
「ふ〜ん?」
「…亜弥サン?」
「………」
「亜弥〜っ?」
「………」
「ニヤニヤしないで言ってよっ!!!」
「じゃ〜言うけど、美優?あたしに隠し事なんて10年早いわよ。何ヵ月一緒に過ごしてきたと思ってるの?」
「………」
「大体、美優は顔に出やすいのよ。嘘吐いてるって丸見え。どうせ、木村比呂にキスでもされたんじゃないの?」
「え、なんで分かったの!?…………あっ!!」
「やっぱりねぇ〜」