ただ、逢いたくて
「そうそう!美優、あの事知ってる?」
「あの事?」
頭の上に幾つもの「?」が浮かぶが、全く分からない。
「えっ!!?知らないの?今、学校中で噂になってるのに…」
「う…わさ?」
さらに「?」が浮かぶあたしを見て、亜弥が小さく溜め息を吐いて話始めた。
「やっぱり知らないか、美優は…。」
「で、噂って何?」
「今日転入生が来るんだって」
「へぇ〜」
「それで…すっごくイケメンらしいの♪」
と興奮気味に話す亜弥。「楽しみ」なんて言って凄く嬉しそう。
今年こそ彼氏作るのよ……とかなんとか、気合いを入れているらしいようで。
その時、チャイムが鳴り同時に先生が入ってきた。生徒は慌ててゾロゾロ席へと戻っていく。
「今日は、転入生を紹介する。木村くん、入ってきて。」
ガラっと開く音と同時に「きゃー」と黄色声が飛び交った
う、うるさぃ……
耳が、キーンて
一体なんなの?
こめかみを押さえながら、入ってきた転入生を見るとそこにはあっと驚くほどの美少年がいた。
綺麗って言葉では表現出来ないくらい顔は整っていて、周りの女達が騒がないはずがない。通りで噂になるはずだ…。
印象的だったのが髪の毛と瞳。風に揺れるサラサラとした金髪は、女の子よりも艶があるんじゃないかっていうくらい綺麗だった。そして、あの瞳。左目だけ茶色ではなくブルー。
まさか、外人っ!!?
と思ったけれど、どうも違うみたいで
カラコンらしい。
本当にこんなに完璧なくらい綺麗な人がいるんだと、そのブルーの瞳をした男子生徒をまじまじと見つめてみる。
すると、フッと目線が合った。
まさか、見られているとは思わなくて、慌てるように視線を反らす。