約束の小指、誓いの薬指。
「愁くん。
もっと俺に惚れろよってあれ、台詞だよね?」


はっと思い出したように、ステージ上で言った僕の言葉を繰り返す凛音。


…やっぱり気づいてたか。
あの時、本気で思ってることを言うなんて恥ずかしいことはできなくて、照れを少しでも紛らわす為に以前言ったことのある台詞をそのまま言った。


「あぁ。
普段の僕じゃ、あんなこと言わないよな」


「そうだね。
それに、私はこれ以上ないくらいに惚れてるから」


…くっ。
えへへと冗談混じりの柔らかい笑顔にぎゅっと心を掴まれる。
こんなことを言われると今すぐにでも抱き締めたくなってしまう。
でもここには富沢もいる…。
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