約束の小指、誓いの薬指。
それからもあのときのトークが面白かったとか、皆が僕の彼女になりたがっていたとか、大袈裟に思えるほどに褒めてくれた。
目がキラキラしていて、僕の中に芽生えるのは憧れのような愛しさ。
これだけ楽しそうに語れるのは羨ましい。


「あ、ちょっとごめん」


不意に凛音の携帯が鳴った。
こんな時間に知らない番号からとあって、怪訝そうにしながらも通話ボタンを押した。


僕も一抹の不安を感じながら凛音を見守る。


次第に硬直していく表情。


はい、はい、と数回繰り返した後、携帯を耳から離してストンと手をおろした。
< 112 / 202 >

この作品をシェア

pagetop