約束の小指、誓いの薬指。
「ど、どうした?」


力の抜けた腕から鞄が落ちる。


一体何の電話だったんだ?


「凛音…、っ」


戸惑う僕にふわりと飛び付いてそのまま抱きついて離れない。


「愁くんっ!」


僕の焦りとは裏腹に凛音は弾んだ声で名前を呼んだ。


「ん?」


取り敢えず嫌なことではなかったらしいことに安心して、その細い肩に手を回す。


「受かった!
大本命の会社!」
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