約束の小指、誓いの薬指。
大学に行くよと早足で歩く綾に、引きこもっていることを叱られ、相葉愁に彼女がいるという報道が出たことに対しては励まされた。


綾も週刊誌に載った写真は見たのだろうが、私の顔は隠してあるし白黒写真ということもあり、相手が私であることには気づいていない様子。
取り敢えずその点においてはほっとした。


綾のすることはいつも唐突で的外れな時もあるけれど、確かに今は引きこもってばかりあても駄目なのかもしれない。
外に出て太陽の光を浴びると、少しずつ元気が出てきた。


「それでね、相葉くんは確かに格好良くて魅力的なんだけど、彼ばかりを追いかけてるだけじゃ人生を損すると思うの。
だから、凛音にな何気ない出会いにもっと目を向けてほしいの。
こっち来て」


「何の話?
ちょっと、綾?」


あれ?
会話の雲行きが怪しくなってきた。
こうなったときの綾はなんというか、お節介が行き過ぎることが多い。
今回もそれに当てはりそうな気がする。
< 132 / 202 >

この作品をシェア

pagetop