約束の小指、誓いの薬指。
私は、あまりにもショックな現実に頭が追い付かない。


「そ、それで、阿部さんは…、週刊誌にも同じ写真を送ったんですか」


戸惑いながらも疑問をぶつけると、阿部さんは軽やかに椅子から立ち上がり、教室内をカツンカツンと足音を立てながら歩き回りながら答えた。


「んー、ちょっと違うな。
俺の職業は週刊誌の記事を書いてる記者なんだよ。
相葉愁を追ってたのだって仕事の1つだし。
さっさと週刊誌に載せないで回りくどいやり方をしたのは、俺なりに計算があった訳で。
だからこうして、久我さんとも知り合えた。

ねぇ、久我さんのこと取材させてよ。
ここで相葉愁の彼女のコメントなんかが出てきたら、最高の盛り上がりを見せると思うんだ」


は…。
すべてが阿部さんの掌で繰り広げられていたってこと?


散々不安にさせて振り回しておいて、更に話を聞かせろだなんて、勝手すぎる。
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