約束の小指、誓いの薬指。
「何言ってるんですか?
そんなこと…」


阿部さんの言ったことが理解できずに…、というか理解したくもなく、眉をひそめたのだが……。
私をからかうように、阿部さんは私の眉間をつんと人差し指で突っついた。


「あーあ、駄目だよ。彼氏だからって男を絶対的に信用しちゃ。
何も考えずに無条件に人を信用するなんて愚かだ。見ていて腹が立つ。

久我さんは自分の知らない所で相葉愁が何をやってるかなんて知らないだろ?」


軽い話し方に見栄隠れする黒い感情。
それにのみ込まれないように私の意思を提示する。


「知らないからこそ信用することが大事なんですよ。
そうしないと、些細なことで疑ってばかりになります」


だけど私の強い意思を、阿部さんはぬらりくらりとかわしていく。
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