約束の小指、誓いの薬指。
「あぁ。些細なことで疑うべきなんだよ。

そうしないから、第三者から思ってもみなかった真実を告げられるんだ。こんなふうに」


ずっと余裕を携えたまま語り続けた阿部さんは、そう言って胸ポケットから数枚の写真を取り出して私に見せた。
一瞬何が写っているのかわからなかった。


だけど、次第にそこにいる人物、状況が把握できてきて……。
鼓動が限界まで速くなるのがわかる。


この写真は本物なのだろうか?
阿部さんが作ったものかもしれない。
でももし…。
もし、本当だったら…?


私はあまりの衝撃に息の仕方も忘れてしまった。


「はぁ……はぁ…」


上手く空気を吸い込めず、苦しくて胸を押さえる。
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