約束の小指、誓いの薬指。
「神のお恵みを授かりたくはありませんか?」


そこには、携帯電話片手にそんな冗談をさらっと言う愁くんの姿があった。


「うぇ?なんでいんの!?」


瞬きするのも忘れて驚きのあまり、玄関を開けた状態で固まる。
腕の力が抜けてずるずると扉を閉めていく私に代わって支えてくれる。


「誰が宗教の勧誘だ」


「あ、ごめんなさい」


がっつりと見下ろされては謝らずにはいられない。この12センチの身長差が今はちょっとだけ憎たらしい。
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