約束の小指、誓いの薬指。
ニューヨークの3月は寒いらしいので、防寒具を買いに近くのショッピングモールへ足を運んだ。
ついでに、昨日の夜に書いた愁くん宛の手紙も鞄に入れて。


寒いといってもどれくらいの寒さかはわからない。
コートもマフラーも、とあれこれ買っていたら、両手に持ちきれない程の量の紙袋となってしまった。
これではまともに前も見えない…。


「あれ、久我さん?
どうしたんですか、そんなに大量に買って」


ちらりと声のした方に目を向けると、スーツを着た富沢さんが怪訝そうな目をして立っていた。
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