約束の小指、誓いの薬指。
あ…。
まずい。
というか気まずい。
こんなときに会うなんて…、まさか愁くんがいたりしないよね!?


「あはは、安心してください。
相葉は今、福岡にいますよ」


「あ…そうですか。
じゃあ、やっぱりこのまま旅立つ方が良さそうですね。

実は私、明日からニューヨークに行くんです。
1年間研修で。

愁くんとのことは曖昧なままになってしまったけど、これも仕方の無いことなのかな。


あの、富沢さん。最後まで迷惑かけてしまって申し訳ないんですけど、この手紙愁くんに渡してもらってもいいですか?
私、愁くんの家の住所知らなくて。


…できれば明日のお昼以降、私が日本を出た後にお願いします」


鞄から出した手紙を渡すと、富沢さんは受け取ってから聞きにくそうにして私に問いかけた。
< 182 / 202 >

この作品をシェア

pagetop