約束の小指、誓いの薬指。
「言ってる綾だってにわかじゃん。顔ファンだろ?」


「顔も格好いいって言ってるんだよ。色気も兼ね備えてるし」


顔ね…。確かに格好良い。
初めて会ったときには、俳優さんかと思ったほどで、それは非の打ち所がないくらいに整った格好よさ。
言われてみれば色気もある。


綾は、顔ファンであることは認めても、にわか呼ばわりされることは気にくわないらしい。ぷぅっと頬を膨らませた。


「わかってない。全っ然わかってない。
相葉くんは二枚目も三枚目も上手く演じるからキャラの幅がすげー広いんだよ。それにラジオで時々見せるさりげない知的な一面はギャップがあっていいし。面白い人だから努力してる姿は想像しにくいけど、本当はキャラクターに真摯に向き合う勤勉な性格なんだ。そういう所が先輩後輩共に好かれる理由なんだよな。

わかるか?」


おぉ。
こんなにも早く、息継ぎの間もなく語る伊織を初めて見た。
キャラクターに真摯に向き合うっていうのは凄く納得できる。でもそれは、私が愁くんと付き合っているから知っていることであり、伊織はどこからその情報を仕入れるんだろう。
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