約束の小指、誓いの薬指。
それに、名前を覚えられていることは意外だった。確かに大きな声で名乗ったが、華麗にスルーされたものだから。
もしかしたら、人見知りなりにコミュニケーションをとる意思はあるのかもしれない。


変わった人だ。


「桃ちゃん、眠たそうですね」


このチャンスを逃してはならないと、僕は続けざまに会話を始める。もう目をほとんど閉じかけていた桃ちゃんを共通の話題として。


2人で桃ちゃんを眺める。
うん、なんと可愛い。僕の腕の中で安心しきっているというぬくもり。背中をとんとんと叩いていると、すぐにこてんと眠りについた。


「僕なんかがあやしても眠ってくれるんだ。すごいと思いません?
可愛いなー」


そのあまりの可愛さに気分が良くなっていた。
感動すら与えてくれる。
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