約束の小指、誓いの薬指。
久我凛音とはもっと話してみたかったが仕方がない。
計算高く、久我凛音がいるときを狙ってまた久我さんの家にお邪魔するか。
それともいっそ久我さんに相談してみるか。


どちらも無しだな。
きっとまたこうして、何も実らずに終わっていくんだろう。


同業者を恋愛対象に見ることはできない。ファンに手を出すなんてもってのほか。外に目を向けるにも限りがある。奇跡的に出会いがあったとしても、それはその日その時だけのもの。
結局また出会いがないと嘆くことになる。


それが僕なんだ。
まったく、幸せを掴める気がしないよ。
< 55 / 202 >

この作品をシェア

pagetop