約束の小指、誓いの薬指。
ステージが成功に終わったのち、予定のなかった僕は秋葉原を散策してみることにした。一応、髪を無造作にして眼鏡をかけて誰かわからないようにしてから。


家電量販店の前を通る度にパチンコ店のような意味のない大音量が聞こえてくる。そこを通りすぎると次はメイド服を着た若い子達がたくさんのビラを配っている。


喉を絞った声を出すメイド服を着た彼女たちに最も感心するのは、オタク臭がする奴をきちんと見分けているという点。


アニメに多く関わっているだけで、そこまでメイドには興味はない僕にはあまり寄ってこないが、普通の格好をした男性には寄っていく。僕とあの男性に見た目での違いがあるようには見えないが、彼は乗り気で店に連れ込まれた。
しかし、そんな僕でも、あの短すぎるスカートに少しは目を向けてしまうものなのだから、結局男というものはそういう生き物なのかもしれない。
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