約束の小指、誓いの薬指。
そんなふうにガヤガヤした通りで生物について考えながら歩いていたのだが、ふと足を止めた。
僕が見ているのはアニメの美少女キャラクターの等身大パネルではなく、その隣で5、6人で固まっている金髪やアフロの外国人の集団だ。
その輪の中にいるのは1人の若い日本人女性。


見覚えがある、なんてレベルではない。こんなにも人の多い場所で捉えることができて足まで止めた。それができたのはしっかりと彼女を意識していたからに違いない。


あちこちの建物を指差している彼女、清楚系の服装でこの街においては異彩を放つ久我凛音は、どうやら外国人に道を訊かれて案内しているらしい。
大丈夫なのだろうか?
あの重症度の高い人見知りが外国人とまともに話せるのだろうか?
それ以前に英語わかるのか?
そんな好奇心から、僕はジリジリと寄って行った。
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