約束の小指、誓いの薬指。
彼女の真意を探るために思い付いたことを言ってみた。


「あの、言い残したこととあったりします?」


「言い残したこと…?」


余計なことを言ってしまったかもしれない。これで気まずさを漂わせてしまうなんてことはしたくない。最後の最後でそんなことにはなってほしくない!


「あります。

あの…私のことは久我さんではなく、凛音と呼んでください。


…失礼します。
今日はありがとうございました」


……。
パタンとドアが閉められる。エントランスに入って行き見えなくなる彼女の姿。


…。どう捉えるのが正解なんだ?
名前で呼んで欲しいというのは、それはつまり意識さらているということだろうか…?
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