約束の小指、誓いの薬指。
親戚の叔父さんの知り合い、というようにしか思われていないのだろうか。
そんな残念な気持ちに落とされたのに、数時間後には会えない彼女のことを考えるようになっていた。
そうして、久我凛音について考えを巡らす時間が自然と日に日に増えていった。


例えば、僕が声優をやっていると知っているのにキャラクターの声やってみてください、なんて言わないなとか。
まぁ、そもそもアニメに詳しくないのだから、僕がキャラクターの声で喋ってみたところで感動もなにもないのだから当然かもしれない。
しかしそれでも、そう頼んでくる人はいて、まぁ、うんざりしながらもやるのだけど…。


それに、彼女はいわゆる若者言葉を使わない。話し方も緩やかで、ちゃんと僕に、僕だけに届くように話してくれる。


思い出す彼女の全てが好印象となっていく。

< 72 / 202 >

この作品をシェア

pagetop