約束の小指、誓いの薬指。
そうして何度も会うことで、その距離は大分縮まった。僕も、凛音と呼ぶことに何ら抵抗も感じなくなっていたし、お互いに敬語もやめていた。


会うたびに凛音は僕の話に意外性を示してくれる。声優のファンがいることや声優によるイベントが開催されていることなど、アニメの中の人に注目が集まっていることに芯から驚いていた。
その凛音の驚きに僕は毎回新鮮さを感じる。


声優として働いていても視野を広く、できるだけ一般的な感覚を持とうとしていたのだが、それにも限界があった。どうしても自分のいる世界に浸ってしまう。
しかし、凛音に会うまで僕はそのことにさえ気がつかなかった。


凛音は僕とは違う世界に住んでいる。だからこそ僕は凛音のリアクションに刺激される。
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