約束の小指、誓いの薬指。
綾は顎に手を当てて、可愛く悩むような仕草で首を傾げた。


「なんで凛音には彼氏ができないのかな?大学入ってから誰とも付き合ってないよね?モテるのに。

そうだ!私の友達紹介しようか?
この前遊んだときの写真見せたら、凛音のこと可愛いって言ってた男子がいるんだ」


テーブルに置いてあった携帯をとって、その友達を見せようとしてくる綾。
そんなふうに写真を見せられても何のリアクションもとれないと思った私は、どうにかその行動を止めさせる。


「え…?
いや、そんなことしなくていいよ。
私は私のペースで恋していくから」


写真を見せた?
知らない人に?
紹介されたとしても人見知りの私は喋れる気がしないし、初めて会う人を恋愛感情をいずれ持つかもしれない人と見ることができない。
どうしてそこまで恋愛に積極的になるかがわからない。
私には、綾が恋愛をして彼氏ができたと言うよりも、彼氏を作るために恋愛をしているように見えてならない。
本人には絶対に言えないけど…。
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