それはいつかの、
***
あの後、数日後の教室で、私は君と再会した。告白してきた君に私が返事を返す間もなく、君は跡形もなく消えてしまった。
その、はずだった。なのにどうして、君はこんな所にいるのだろう。
「……ひろ、くん」
「……ごめん、紘じゃない」
「――――え、?」
ひろ。紘。ずっと呼びたかった君の名。けれど紘じゃないという、君そっくりな人影。ぐっと唇を結ぶと、彼は反対にゆるゆると口を開いた。
「俺の名前は、コウ。さんずいに告白の告で、浩。――――紘の、双子の弟」
「……こう?」
浩。紘くんの、双子の弟。
紘と、浩、か。両方とも『ひろ』とも読むし『こう』とも読む。そっか、双子か。――――紘くんも、双子だったんだ。
「ごめんなさい……!」
ごめんなさい。双子の片割れを、私のせいで。
「チカ。……だったっけ」
君と同じか、少し低い声が私の名を呼んだ。ぎゅうっと心臓が掴まれる。
「――――そっくり、だね」
続けて紡がれた言葉の意味は分からない。口を閉じたまま泣きそうな私に、彼は再び言葉を紡ぐ。
「僕が、君の枷になってあげる」
「か、せ?」
「そう。枷。君の命を僕に頂戴? 僕の命、君に託すから」