『あの時、君は……』
「……荷物の整理とか、さ……引越しの準備って結構忙しいんだよ?」
瞳は不器用な笑顔でわざとらしく言った。
「……いや……でも、よ……まだ時間あるだろ…? 最後とか言うなよ」
「また……」

瞳は小さな声で言った。

「えっ? 何?」
「また……会えるから……なんて、言ったら……悲しいでしょ……だから……」

……なんでだろう。
瞳は泣いているのだろうか。声が曇ってがよく聞こえない。
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