『あの時、君は……』

=朝焼け=

自転車はどんどん加速していく。
いつもより向かい風が強く、ペダルを漕ぐ足も疲れてくる。

「ほーら、彰頑張れ~♪」

後ろでわざとらしく瞳が応援する。
腹が立つが、何気嬉しかったりもした。
だが、ある地点で俺ゎ止まってしまった。

――駅の場所を実は、俺は知らない……

「……えっと……」
「どうしたの?」
「こっから駅ってどっちだっけ……?」

瞳がくすりと笑う。

「ここの坂上るんだよ」

え……
この、心臓破りの坂ですか……?



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