『あの時、君は……』
「あ、踏切が見えて来た」
瞳が踏切を見つけていう。
もう、駅までそう時間もかからないようだ……
「……ねぇ、周り……すっごく静かだよね」
「急にどうしたんだよ」
「……」
瞳は何も言わない。
俺が間違ったのか? 付け足してもう一度俺は言う。
「……そうだな」
「なんか……さ、世界に私達だけしかいないみたいだよね」
「うん……」
瞳のその言葉を聞いて、
本当にそうだったらいい……と思った俺は変だろうか。
だけど、愛しくも感じるこの言葉の意味は、今の俺には何か……寂しさのようなものも感じさせた。