『あの時、君は……』
=大切=
「えーっと、確か……」

駅に入るなり、瞳は手慣れた手つきで券売機の前に立つ。

「あ、あったあった!」
「どこの駅だよ」
「んー……彰に言ってもわかんないと思うけど、これ」

右下端の片道1600円もする、一番高い切符を瞳は買った。
駅名が書いてあったが、俺はよくその町については知らない。
……そんな俺の知らない町に、瞳は引っ越してしまうとなると……

どんどん瞳が遠くなってしまいそうで

俺は悲しくなった。
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