『あの時、君は……』
「は~……焦った~」
「すぐに使うのになんで、そんな大事そうにしまうんだよ……」
俺は呆れながら聞いた。
「うーん…なんか、落とさないようにしなきゃなー、って思って……」
瞳は恥ずかしそうに俯いた。
「大切な物は、コレにいれとこうって思って!……彰もこの鞄に入れて行きたいくらいだよ」
「馬鹿言うなよ!」
「……本気だよ……私……もっと彰と……大切な人、と……」
瞳が泣きそうになる。
「ほら、早くいけよ」
「……」
「最後の別れに涙は嫌だろ?」
「……彰もホームについてきてよ……?」
「あぁ……うん」
どうしたんだ俺。
なんかボーッとするぞ。
もちろん最後まで見届けるはずなのに……