『あの時、君は……』
「えっと……な、なんでも……」

瞳が目で俺にヘルプと訴えていた。
しょうがない彼女だな。

「すみません、なんでもないんです。戻っていいですよ」
「そうですか、わかりました」

駅員は、そう言うと引っ込んでいった。

「ったく、何やってんだよ……」
「だってホントに取れないんだもん……」

瞳は泣きそうな顔で俺を見た。

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