『あの時、君は……』
瞳の腕が赤く染まっていた。
今もまだ、鮮血が流れでている。

「あ、ちょっと……転んで……」
「転んでそんなざっくり切り傷できっかよ!……誰だよ……?」
「……」

瞳は泣くものか、と口をつぐんでいる。

「瞳!」
「……彰の、家で……」

瞳が視線を外しながらしゃべり始めた。

「約束だったから……彰の家に行ったの……そしたら、七美ちゃんに会って、ナイフで切られた……」
< 39 / 203 >

この作品をシェア

pagetop